~モジュールデータベースの登録を工夫してメガソーラーサイトを一度に評価する~
大規模な太陽光発電所が各地に誕生し注目を集めていますが、太陽光発電施設の増加に伴い
太陽電池パネルが反射する光(以下「反射光」)が見過ごせない問題としてクローズアップされてきました。
太陽光発電シミュレーションソフト「Solar Pro」には
太陽電池パネルの反射光の当たる場所を評価する[反射光表示]という機能があります。
Solar Pro Ver.4.1では、取り扱えるモジュールやアレイ数の上限が
1アレイあたりモジュール数400枚、アレイ数400枚と拡張されており、メガソーラー施設のシミュレーションが
可能になっていますが、[反射光表示]で扱える上限は100アレイまでとなっているため
メガソーラー施設全体に対して一度に評価することができないこともあります。
そこで今回は、メガソーラー施設の反射光シミュレーションの際に
アレイやアレイ群を1つのモジュールとして登録する方法をご紹介いたします。
こうすることで、[反射光表示]で扱えるアレイ数の制限をクリアして反射光の
シミュレーションを行うことが可能になります。
(※実際と異なるモジュールを設定をすることになるため、発電電力量のシミュレーションには使用できません)
また、この方法にはモジュールピッチを考慮することなく
アレイ寸法をそのまま入力するだけですばやく作業できるという利点もあります。
①CAD図などの図面から1つのアレイ(またはアレイ群)の列の長辺と短辺の長さを読み取ります(図1)。
※ここでは、CAD図の代わりにSolar Proの3D CAD画面で示します。
②メニューから「その他」->「太陽電池データベース」を開きます(図2、図3、図4)。
③[メーカー追加]をクリックし、[メーカー名]に適当なメーカー名を入力します。
[型名]の空いているところに適当な名前を入れます。
今回、発電電力量をシミュレーションするわけではありませんが、アレイ(アレイ群)をモジュールとして
登録するには寸法以外のスペックも必要ですので、寸法以外は実在するモジュール(アレイではありません)の
スペックを入力してください(図5)。
図5は、図1の寸法の値(長辺(mm)×短辺(mm)
38400×2410、48000×2410、28800×2410、19200×2410)を入力している様子です。
入力が完了しましたら、「適用」、「OK」の順でクリックし、「太陽電池データベース」を閉じます。
※モジュール登録の際、実在しないスペックを入力すると、「太陽電池データベース」を閉じた後の
「太陽電池の変換」が正常に終了しない場合がありますので、実在するモジュールのスペックを
入力するようにしてください。
※種別、温度係数については参考にしたモジュールと同じ設定を行うか、種別を「その他」
温度係数を「---」と入力してください。
④メニューから[3D CAD]->[太陽電池アレイ]を選び、③で登録したメーカーとモジュールを選択し(図6)
座標を入力し、3D CAD上に[OK]を押して設置します(図7、図9)。
※1列を1つの大きなモジュールとして登録しているので、[太陽電池アレイ]の【モジュール枚数】は
横1枚、縦1枚としてください(図8)。
(ここからの作業は通常の反射光シミュレーションと同様の手順です。)
⑤[太陽電池アレイ]の[オプション]から[反射光表示]にチェックを入れます(図10)。
[反射光表示]にチェックが入ったアレイはアレイの周りが黄色くなります(図11)。
今回は太陽電池パネルから東西南北それぞれに約10m離れたところに高さ10mの建物を建て
反射光のシミュレーションを行いますが、反射光が見易いよう、ビルに色を付けています(図12)。
反射光が当たる時刻を知るには時間軸表示を使うと便利です。
メニューから[影計算]->[時間軸表示]で表示されます(図13、図14)。
まずは春分(または秋分)、夏至、冬至の場合で時間軸を朝から夕方まで動かしてしてみると
目安となって良いでしょう。
春分の朝の時間帯は西側のビルが反射光の影響を受け(図15)
午後の時間帯には東側のビルが反射光の影響を受けます(図16)。
夏至では、朝の時間帯は西側と南側のビルが反射光の影響を受け(図17)
午後の時間帯では南側のビルだけが反射光の影響を受け(図18)
夕方の時間帯は東側と南側のビルが反射光の影響を受けます(図19)。
夏至では、南側のビルは(高さは変化しますが)1日を通して反射光の影響を受けています。
冬至でも、朝の時間帯は西側のビルが反射光の影響を受け(図20)
午後の時間帯は東側のビルが反射光の影響を受けます(図21)が
他の季節に比べて反射光の影響を受ける範囲が狭くなっています。
⑥モジュールの[反射光の表示]にチェックが入っている(図10)と
一定時間毎の反射光の軌跡を見ることもできます。
メニューの[影計算]->[影軌跡]を選択します(図22、図23)。
影軌跡ウィンドウの[反射光軌跡]にチェックを入れます(図24)。
軌跡を表示する間隔と時間帯を入力し(図25)、[OK]を押すと反射光軌跡のシミュレーションが始まります(図26)。
今回は分かり易くするために、春分(3月21日)の西側のビルに絞って反射光軌跡を表示しています(図27)。
西側のビルは朝の時間帯しか反射光の影響を受けないので時間帯は6時00分~9時10分に設定しています。
図27より、反射光は南の空に向かって西側のビルを上昇していっていることがわかります。