TOPへ戻る
木造新社屋ご紹介
コンセプトは100年もつ京町家風オフィスビル

京都市初、木造自社オフィスビル完成!

2016年12月、民間企業の自社オフィスビルとしては京都市初となる木造の新社屋が竣工しました。技術部門を集約したこの新社屋が今後の研究開発の拠点となります。構想開始から3年を経て完成した、見どころ満載の新社屋をご紹介します!

1.木造を選んだ理由とは

歴史ある景観に配慮
当社の所在地である京都・伏見は、古くからの町家が並ぶ歴史ある町。京都を代表する伝統的景観に配慮した
京都らしいオフィスビルを目指し、「京町家風オフィス」をコンセプトにした木造建築が最適と考えました。
規制緩和と技術向上
日本の木造建築には素晴らしい伝統工法があるものの、大きな規模の建物には鉄筋コンクリートや鉄骨造でないといけないという法律がありました。しかし、徐々に規制が緩和されはじめ、また、安全・安心が十分担保されるほど技術も向上し、規模の大きな木造建築も可能になりました。
木造建築の主なメリットは3つ。1つ目は「100年もつ耐久性」です。木造建築の寿命は100年といわれ、世界最古の木造建築・法隆寺は1300年以上もその姿を保っています。2つ目は「快適な環境づくり」。木材は疲れをいやす効果があるといわれ、調温効果・断熱効果も!夏は涼しく、冬は暖かい環境を保ち、木造建築は日本の気候に最適です。3つ目は「環境負荷の小さい資源」です。木材は建築材料になるまでに必要なエネルギーが少なく、廃材が環境に与える負荷も少ないため、環境に配慮した資源なのです。

2.木造建築の「裏側」に迫る

木造フレーム工事・木組み

通し柱はとても重要な構造用の柱のことで、1階から最上階までを一体化し、建物の耐震性や耐久性を高める役割があります。

土台から軒までを通す「通し柱」は最長約14m!
クレーンで1本1本吊り上げ、慎重に固定されていきます。
全ての通し柱の固定が完了!その大きさに圧倒されます。
通し柱を含め、基礎構造には高品質の集成材を採用しました。
整然と美しく並んだ木の骨組み。今は防火シートに覆われ、見られないのが心残りです。
他の階とは組み方が異なる4階フロアの天井の木組みは特に圧巻!

鎧張りの外壁

外壁の杉板には京都府産の杉だけを使用。日本の木造建築で古くから用いられている「鎧張り」という工法で、美しく仕上げました。

木目が美しく見えるよう配合した塗料を使って、職人が1枚1枚塗装していきます。
外壁全体に約1000枚もの杉板を使用。鎧のように段々に重ねていきます。

北山杉の太鼓梁

入手するのが難しい、大変大きく貴重な北山杉を太鼓梁として玄関に配置。新社屋のシンボルのひとつになりました!

北山杉の美しい木目が出るように、カンナで丁寧に削っていきます。
現場に搬入され、梁の左右をまっすぐに切り落とします。
長さの微調整を何度も行いながら、職人が数人がかりで慎重に設置します。
匠の技でぴったりと隙間なくはめ込まれ、設置完了!

「東山三十六峰」格子建具

当社が環境ビジネスを手掛けていることから、自然と当社をつなぐイメージで東山の山々から伏見へ続く稜線を描いた格子建具を制作。自然のエネルギーをお客様や社員に感じさせるオリジナル性の高いモニュメントとなりました。

格子建具には吉野山の赤杉を使用しています。
選りすぐりの赤杉が木材市で競り落とされました。
赤杉の色調や乾燥度を基準に並べていき、山々の美しい稜線を描きます。
高度な職人技が必要な「切り欠き特殊加工」で絶妙な曲線に削り上げます。
カンナと小刀で削ることで艶を出し、されに磨き込まれて納品されました。
左から、愛宕山、比叡山、東山、稲荷山、伏見と、京都・東山の山々の稜線を表現しています。
木造建築に託した想い。「100年もつ町家風オフィスビル」というコンセプトのもと、多くの方々のご尽力を賜りながら随所に工夫を凝らし無事、木造新社屋の竣工を迎えることができました。新社屋を研究開発の新たな拠点とし社会貢献につながる最先端技術を生み出し続け、今後も「京都から世界へ」のスローガンの実現を目指します。また、今回の当社の取り組みが、未来に残すべき京都らしい街並みづくりに積極的に企業が貢献していくひとつのきっかけになればと願っています。