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【モニタリング基礎講座第2回】

「太陽光の特徴とその計測の必要性」


公開:2016/01/21
プラスくん

はじめに......

太陽光発電におけるエネルギー源は、言うまでもなく太陽光です。
そのため、モニタリングを行う際にも太陽光について知っておく必要があります。そこで今回は、「太陽光にはどのような種類があり、どういった性質を持っているのか?」という太陽光の特徴、そして太陽光をなぜ計測する必要があるのかについてご紹介いたします。

太陽光の特徴

<直達光と散乱光>
地表に到達する太陽光には「直達光」と「散乱光」があります。
・直達光:太陽光のうち直線的に到達するもの
・散乱光:太陽光のうち大気中の水蒸気等の分子や微粒子により散乱した後、地表に到達するもの
     空が晴天の時は青く、曇天の時は白く見えるのは、この散乱光があるためです。

<日射強度>
地表に到達する太陽光の強さを日射強度と呼び、地表のある地点に到達するすべての日射強度の和を全天日射強度と呼びます。 全天日射強度は次式で表されます。
全天日射強度を表す式:Ig=Id sinθ+Is
凡例:Ig=全天日射強度、Id=直達日射強度、Is=散乱日射、θ=地表から見た太陽の角度
ちなみに、日射強度に時間を掛けた値が日射量(kW・h/m²)です。

空が曇ってくると晴れているときに比べて直達日射強度は低下しますが、散乱日射強度はあまり低下しません。雲が厚くなるのにしたがって直達日射強度はゼロに近づき、結果として全天日射強度はほぼ散乱日射強度と等しくなると言われています。
全天日射強度と散乱日射強度
図1:全天日射強度と散乱日射強度

<エアマス>
太陽光は大気中を通って地表に到達しますが、その道のり(エアマス)で光の強度と波長分布(スペクトル)が変化します。エアマスは太陽光が地表に対して差し込む角度で決まり、太陽光が垂直に入射している場合を基準(AM 1)とし、その道のりに対する比を表します。
エアマスとは 図2:エアマスとは

我が国の地表では、概ねAM1.5と言われています。また、太陽電池パネルの性能表示にはAM1.5、温度25℃、光強度1000W/m²という基準状態(STC:Standard Test Condition)下で、専用の装置(ソーラーシュミレータ)により測定された発電性能が用いられています。
ただし、AMが同じであっても、その時の大気の状態(天気や湿度、PM2.5等の粒子物質の量等)によって、地表で観測される日射強度や波長分布はかなり変化するため、その時々の日射強度を正確に知るには、実際にその地点で計測する必要があります。
全天・直達・散乱の各日射強度(日射量)を測定する装置が多数市販されているのはそのためです。

まとめ

最後に、今回のコラムの要点をまとめます。

1.地表に到達する太陽光には「直達光」と「散乱光」がある
直達光:太陽光のうち直線的に地表に到達するもの
散乱光:太陽光のうち大気中の水蒸気等の分子や微粒子により散乱した後、地表に到達するもの
2.日射強度とは?
地表に到達する太陽光の強さを日射強度と呼び、地表のある地点に到達するすべての日射強度の和を全天日射強度と呼びます。
3.エアマス(AM)とは?
太陽光が大気中を通って地表に到達するまでの道のり
4.日射強度を正確に知るために、実際にその地点で計測する必要があるのはなぜか?
AMが同じであっても、その時の大気の状態(天気や湿度、PM2.5等の粒子状物質の量など)によって、地表で観測される日射強度や波長分布はかなり変化するため、その時々の日射強度を正確に知るには、実際にその地点で計測する必要があります。

第2回のコラムは太陽光の特徴とその計測の必要性についてお届けいたしました。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。

次回は「日射量の計測方法」についてご紹介します